フィリピンの首都マニラの交通渋滞は、特に有名で住民や観光客にとっても深刻な問題となっています。
オランダに本社を置く多国籍交通データ提供企業であり、位置情報技術の専門会社であるTomTom International BVによると、昨年、マニラ首都圏での地元の運転手が10キロメートルの移動にかかる平均時間は25分30秒でした(これは前年の記録より50秒の増加となります)
特に金曜日の午後5時から6時は悪夢のような渋滞で、10キロメートルの移動時間が最大で35分30秒にまで延びました。
TomTom Traffic Indexは「さまざまな情報源」から収集されたフローティングカーデータ(世界全体で5510億キロメートルに及ぶ)に基づき、各都市の交通状況を評価・分析しています。
この分析は、道路インフラや速度制限といった準静的な要因と、交通渋滞や交通流動の変化といった動的な要因によって影響を受けます。この2つの要因が相互に作用し、各場所での平均移動時間が決まります
1. 交通渋滞の原因
•人口密度の高さ: マニラ首都圏には約1,300万人が住んでおり、他の地方からの通勤者も多くいます。この人口密集度は道路の過負荷を引き起こし、渋滞を悪化させています。
•公共交通機関の不足: MRT(マニラ・メトロ・レール・トランジット)やLRT(ライト・レール・トランジット)などの公共交通機関はありますが、利用者の需要に対して供給が追いついていません。車を持つ人が増え、さらに渋滞がひどくなっています。
•インフラの遅れ: マニラの道路ネットワークは拡大しているものの、需要に対する対応が遅れています。道路整備や交通インフラの計画が遅れ、渋滞の悪化を招いています。
•交通規則の遵守の欠如: ドライバーが交通規則を守らないことが多く、渋滞や事故の原因となっています。
2. 政府の対策
•インフラ整備の加速: フィリピン政府は、橋の建設や道路拡張などの大規模なインフラ整備プロジェクト(「Build, Build, Build」プログラム)を進めています。特に、環状道路の整備やメガメトロの都市間連結を目的としたプロジェクトが進行中です。
•バス路線の改良と専用レーンの設置: いくつかの主要道路において、バス専用レーンの設置が進められており、公共交通機関の利便性向上を目指しています。
•車両制限制度: 「ナンバーレーン・コーディング」制度(例:月曜日はナンバープレート末尾が特定の番号の車は走行禁止)を導入して、一日の車両数を制限することで渋滞緩和を図っています。
•代替交通手段の導入: 自転車や電動スクーターなど、環境にやさしく小回りの利く移動手段も推進されています。
3. 市民レベルの対策
•カープールの利用: マニラではカープールアプリが普及し、通勤時の車の数を減らす一助となっています。
•リモートワークの導入: コロナ禍以降、多くの企業がリモートワークを導入し、通勤による渋滞の緩和に貢献しています。
交通渋滞はまだ大きな課題ですが、政府と市民の協力があれば、マニラの交通問題は少しずつ改善される可能性があります。
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