フィリピンが再び世界で最も危険な国のリスト「world risk report」で
3度目のトップとなったという記事を目にした
首都マニラでも台風による洪水被害で交通機関が停止するほどの被害を受けています
WorldRiskReport(ワールドリスクレポート)とは、世界中の国々が自然災害や気候変動、その他のリスクに対してどれほど脆弱であるかを評価するために毎年発行されている報告書で特に、災害による被害を受けやすい国々を特定し、その要因や改善策について分析します。このレポートは、ドイツの「Bündnis Entwicklung Hilft(開発支援連盟)」と、国連大学の「環境・人間の安全保障研究所(UNU-EHS)」が協力して作成している組織
WorldRiskReportとは
1. ワールドリスク指数(WorldRiskIndex)
各国の自然災害に対する脆弱性を数値化したもので、リスクは以下の4つの要素で構成されます
1. 暴露(Exposure):地震、津波、洪水、暴風など、自然災害にどれだけさらされているか。
2. 脆弱性(Vulnerability):災害に対する備えの程度。教育、インフラ、貧困率、医療体制などが影響します。
3. 対応能力(Coping Capacity):災害が起きた際の即時対応能力。政府の災害対策や救援活動の効果など。
4. 適応能力(Adaptive Capacity):長期的に災害リスクを減少させるための社会や環境の適応能力。
気候変動への対応策や都市計画などが関連します。
国ごとのリスク評価
ワールドリスク指数に基づき、世界各国の災害リスクをランキング化。特に脆弱な国や地域は、自然災害に対する準備が不十分であることが多く、社会経済的要因もリスクに関与しています。たとえば、太平洋諸島の小さな国々やアフリカの一部地域は、地理的に自然災害にさらされやすく、また、災害に対処するためのインフラや資源が不足しているため、高いリスクに分類されることが多いです。
地域ごとの詳細な分析
各地域の地理的特性や社会的要因がどのように災害リスクに影響を与えているかを詳細に分析します。たとえば、低地の沿岸地域では海面上昇による洪水リスクが増大している一方で、内陸の乾燥地域では旱魃(かんばつ)のリスクが高まっています。
そして現在もフィリピンのWestern Visaya地方ではモンスーンが猛威を振るっていて、
たくさんの被害が出ている
WorldRiskReportにおける「リスクの計算(Calculation of Risk)」は、
各国や地域がどれだけ自然災害に対して脆弱かを評価するための重要なプロセスです。
リスクは、いくつかの要素の組み合わせによって計算され、
最終的に「ワールドリスク指数(WorldRiskIndex)」として示されます。
これにより、各国が抱える災害リスクが数値化され、比較可能な形で提供されます。
リスク計算の基本式
WorldRiskIndexは、以下のような基本的な数式で計算されます
リスク(Risk) = 暴露(Exposure) × 脆弱性(Vulnerability)
この式の中で、リスクを決定する2つの主要要素が「暴露」と「脆弱性」です。そして、脆弱性はさらに3つのサブ要素に分けて評価されます。
1. 暴露(Exposure)
「暴露」とは、その国や地域が自然災害(地震、津波、洪水、暴風、干ばつなど)にどの程度さらされるかを指します。具体的には、人口やインフラがどの程度リスクのある地域に存在しているかを考慮します。
例えば、太平洋の小さな島国は、台風や海面上昇などの自然災害に対して非常に高い暴露を持っていると言えます。また、地震帯に位置する国々も暴露が高いと評価されます。
2. 脆弱性(Vulnerability)
「脆弱性」は、災害に対する備えがどれだけできているか、あるいは災害に対する対応能力がどれほど効果的かを示す指標です。脆弱性は、さらに以下の3つのサブ要素に分けられます:
(1) 対応能力(Coping Capacity)
災害が発生した際に、社会や政府がどれだけ速やかに対応できるかを表します。これには、災害救助のインフラ、避難計画、緊急時の医療支援システムの効率性が含まれます。
•効果的な緊急対策システムを持つ国は、対応能力が高く評価されます。
•貧困や政治的不安定さが影響して、即座の対応が困難な国は対応能力が低いと評価されます。
(2) 適応能力(Adaptive Capacity)
長期的に災害に適応する能力を指し、気候変動対策や都市計画、持続可能な開発が重要な要素となります。これにより、将来的な災害リスクを低減することが目指されます。
•政府が気候変動に対応する政策を導入している場合や、社会が災害に適応できるシステムを持っている場合は、適応能力が高いとされます。
(3) 感受性(Susceptibility)
これは、災害に対してどれほど影響を受けやすいかを示します。感受性には、人口密度、経済的状況、医療体制、教育水準などが影響します。
•経済的に豊かな国や、医療や教育体制が整っている国は感受性が低く、災害に対して耐性があるとされています。
•貧困率が高く、基本的な医療やインフラが不足している国は感受性が高く、災害の影響を強く受けます。
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